卒業式式辞
花の香り漂い、春の息吹を感じさせる今日の良き日、ここに、平成二十二年度、和歌山市立和歌山高等学校全日制卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、多くのご来賓の皆様のご臨席を賜りましたことを、高いところからでございますが、厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
また、卒業生の保護者の皆様、本日は、おめでとうございます。人生で最も多感で、しかも著しい成長期のお子様が、こうして卒業の喜びの日を迎えられましたことは、感慨もひとしおかと、御推察申し上げます。
皆様のお子様は、高校生活を経て、心身共にたくましく、頼もしい青年に成長しました。この間、本校の教育活動のために多大なご支援、ご協力を賜りましたこと、全教職員を代表し、あらためて厚くお礼申し上げます。
さて、ただいま卒業証書を授与しました卒業生諸君、卒業おめでとう。
今、卒業式に臨み、皆さんの脳裏にはどんな思い出が、去来しているでしょうか。青春のエネルギーを燃やしたクラブ活動の事でしょうか。新しい知識の修得や資格の取得、「市高デパート」で朝早くからそれぞれの部署で取り組んだ事、友との友情を深め合った体育祭や文化祭、修学旅行などの学校行事の事でしょうか。そのいずれに於いても皆さんは、一生懸命でした。そして、その中で自分の素晴らしいところ、良さをきっと見つけてくれたものと信じています。
皆さんが手にした卒業証書は、一人ひとりの努力によって得られたことは、もちろんですが、その陰には、多くの人たちの励ましや支えがあった事を心に刻み、あらためて感謝の気持ちを伝えて欲しいと思います。
これから皆さんを待ち受ける社会は、かつてないスピードで変化をしており、経済不況から未だに脱しきれません。日本の経済を支えてきた「ものづくり」の世界に於いても、産業構造の変化やグローバル社会の進展に伴い、これまでの枠組みが、制度疲労をおこし、新たな仕組み作りへの叡智と若いエネルギーが必要とされています。それだけに、次代の産業社会を担うリーダーとなる皆さんの今後の活躍への期待は、高まります。そんな思いをこめて次の話を「はなむけ」として贈ります。
それは、世界の喜劇王として活躍し、今も多くの人たちに愛され、二十世紀を代表する映画人として生きた、チャールズ・チャップリンについてであります。彼は、1889年、イギリス・ロンドンに生まれ、貧しい幼少時代を送りました。兄のすすめで入った劇団で、アメリカ巡業中に才能を認められ映画界に入りました。やがて、「ライムライト」など彼の作る作品は、次々にヒットをします。幼少期の貧困、第二次世界大戦の勃発、得られた成功と名誉、さらには、成功と名誉を得たアメリカからの国外追放と、激しい時代と人生の変化の渦中にあっても、彼は、立ち止まらず次々と作品を作り続けました。そんなチャップリンに、新聞記者が質問をしました。「あなたの最高傑作の作品は、何ですか?」とその答えが「NEXT ONE」つまり、次の作品だと言ったのです。映画界の頂点まで上り詰めた彼が、さらに次の目標を持って生きようとする姿勢に周囲は、驚いたと言います。ここまでやったらもう満足だと思えば人間の成長は、止まるものです。これは、まだまだこれからだとの気概、そして諦めない生き方と言えると思います。混迷の時代にあっては 、現状に甘んじず、挑戦することが不可欠となります。生徒諸君には、この「NEXT ONE」の言葉通り、常に前を向き、生きる人間であって欲しいと強く願います。
最後に、卒業生の皆様、「市高生」であった事を誇りとして、健康に留意し、それぞれの目標に向かって精進、努力し、華を咲かせ、実を結ぶことを心より念願します。皆さんの前途が洋々たるものとなり、幸多かれと祈念して式辞とします。
平成二十三年三月一日
和歌山市立和歌山高等学校
校長 西川 洋



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